一語の厄日

今日も、いつの間にか通うことが日課となった浦原商店へと行ったのが事の始まりだった。
「ちわーーっ!」
ガラガラッと引き戸を開けて挨拶するが、店内はシーンと静まり返っている…。
おい…誰もいねぇ~のかよっ!?――いや…まて、確か昨日…「明日もお待ちしておりますよんv」とかぬかしてなかったか?

来いとか言っときながら…(怒)
「おいっ!!浦原!いねぇーのかっ!!」
―――すると、なにやら奥の方で――ガダンバダバダッ…ドタドタ――と音がしたと思いきや、目的の人物が埃まみれでやって来た。

「いや~スイマセンねぇ~。ちょっと倉庫の整理をしてたもので…。」
パタパタと埃をはらいながら、「黒崎さん、お帰りなさいッスv」と言った。
「お・おうっ…」
どもった返事をする俺に、「ささっ、どうぞお上がり下さいなv今日のおやつはテッサイの力作だそうっスよ~v」

なんて話しかけてきている。


――あれ?なんかいつもと違くねぇ!?…いつもなら――俺が来ると、ドタドタドタッってやって来て…

「お帰りなさいッスv一護さんvv」と飛びついて来やがるのに…。
まぁ、大抵は俺が避けて…「ううっ;;酷いッスTT」なんて言ってやがるか、避け損ねた場合に「あぁっ!!煩ぇっ!!くっ付くなっ!!」って俺が怒ってるかのどっちかなんだがな…。

―と、俺が百面相(本人自覚無し)して考えてると…「どうかしましたか?上がらないんスか?」と浦原が聞いてきた…。
やべっ…考えに没頭しすぎちまったぜ…(汗)「おぅ!上がるぜ!お・お邪魔します…。」
動揺して普段言わないことを口走っているが…当の本人は気づいていないようだ。

居間に上がると、浦原がお茶菓子を持ってきた。
「さっ、どうぞ。今日のおやつはテッサイが梅雨をイメージして作った、紫陽花の和菓子っスよv」
俺の前に置いてそう説明した…。いつもならテッサイさんが持ってくるのに…。
「あれ?テッサイさん、いねぇーの?」
俺がそう聞くと、「テッサイにはお使いを頼んでるので、今日は居ないんス。

だから今日は…アタシが黒崎さんの為に準備したんスよv」


「そ・そうかっ…///」――な・なんか照れる////ってか正直、嬉しい…。いつもぐうたらで、自分の為にしか動かねぇーのに。
「じゃぁ…いただきますっ///」――和菓子を見ると、綺麗な紫陽花の形をしていて…正直壊すのが勿体ねぇぐらいだ。

流石はテッサイさんだなっ!そう思いつつ、一口食べた。
「うん!美味いッvv」―俺がそう言うと、「それは良かったッスv」とこっちを見てニコニコしている。
何気ない日常…でもっ――なにか物足りない…。

そうだ…ここでもいつもなら、「美味しいッスか?じゃあ…アタシにも一口下さいなvはい、あ~んv」とか言ってきて、

――なっ/// 自分で食えッ!!「え~~!…何なら、口移しでも構いませんよ…。」 

「つっ!!//// ――見たいな会話になったりする筈…。

 

 

なんだ…俺、なんかしたかっ??

つっ!!こ・これじゃあまるで俺が、アイツにくっ付かれるのを望んでる見てぇーじゃねぇーかっ!!?////

だ・断じて違うぞ!!これはだな…そう、あれだ!いつもと違うから調子が狂うっつうか…なんていうか…///
なんてグルグル考えている一護を見て、一瞬悪どい笑みを浮べたのは…下を向いていた一護は知る由も無かった。

 


 

「黒崎さん。今日はどうしますか?またここで宿題をするッスか?」
いきなり浦原が聞いてきたので!(考え込んでただけで行き成りではない)「うへぇっ!?」と変な声を出してしまった。
「黒崎さん?今日はちょっと変じゃないっすか?どこか具合でも…。」と、顔を覗き込む仕草をするので…慌てて

―――「だ!大丈夫だっ!!なんでもないっ!!…宿題だな。……今日は、無いから、やらねぇ。」
と返した。――本当は今日も宿題あるけど、こんなんじゃ出来ねぇよっ;;アイツも宿題とか言ってくるし…いつもは構えって嫌がるのに、なんなんだよっ!?くそっ!!

なんか文句があるなら、いやぁーいいじゃねぇーかよっ!!

何で俺がこんな気持ちにならなきゃなんねぇんだっ!?な・なんか泣きたくなってきた…。
…それもこれも、アイツの所為だっ!!

「ぅおいっ!!何なんだよ今日は!!…やけに他人行儀だし!いつもはベタベタして来やがるくせにっ!!俺オマエになんかしたかよ!?言いたいことがあるならハッキリ言やぁーいいだろ!!」
―――はぁはぁっ…今日感じていた鬱憤をわめき散らして、ギロッとアイツを見た…。

くそっ!!涙が勝手にボロボロ出てきてとまんねぇ!最悪だっ!!
「つっ…もう帰るッ!!」――そう言って、走り出そうとしたら――「お待ちなさい…。」と浦原が言った。
構うもんかっ!!と走り抜けようとすると…ズシッ…と背中に重みを感じ、いつの間にか…浦原に後ろから抱きしめられていた。
――怒っているのに、怒っているのに…背中に感じる温もりが心地よくて…動けない。

こんな時なのにドキドキしてしまって、心臓が破裂しそうだ…。

今は涙でぐしゃぐしゃで酷い顔をしているので、顔も上げられず…下を向いて黙っていた。

「…スイマセン。少し苛め過ぎちゃいましたね…。――だって一護さん、最近テスト勉強や何やらでちっともアタシに構ってくれなかったじゃないっスか…。だからちょっと意地悪しちゃいました。」
そう、浦原が言った。なんだよそれっ!!

…たしかにそりゃぁ~最近、勉強ばっかしてほっぽっといたかもしれないけど…。だけどっ!!
「なんだよそれはっ!!お・俺がどん…な気持ちで…いた…と…思っ…て。」
泣きながら喋ってるので、うまく言えない俺に――「本当にスイマセンでした。…だから、泣き止んで…。」
そう言うと、俺に前を向かせ…涙にキスをして舐めとった。

――そうして抱きしめられている内に、段々と落ち着いてきた俺は…「…もうするなよっ!!」と言い

浦原は「分かりました。…泣いてる一護さんも可愛いっスけど、傷つけたく無いッスからね。……一護さんの事…愛してますから…。」
「つっ!!///」俺が真っ赤になって口をパクパクさせている間に…浦原は…


「そういえば、一護さん。今日は宿題ないんスよねv…じゃあ…今までの分、たっぷりとイチャイチャ出来ますねんvv」

そういって、俺を抱き上げ…問答無用で部屋へと連れて行かれた…。
「ぎゃぁ~!!ちょっ!!まっ!!それとこれとは、話が別だッ!!…お前反省してねぇーだろーーー!!!」
――その一護の叫びを聞いたものは、誰も居なかった。

…その後、一護は浦原を怒らせるのはやめようと…密かに誓ったのである…。

 

 

日頃ラブラブな御二方v 浦原さんに翻弄される一護が大好きッスv