シロちゃんBD

  

 

「隊長ぅ~お誕生日おめでとうございますぅ~vハイこれ!プレゼントッ。…まだ開けちゃダメですよ。夜、1人の時に開けて下さいねッv」

本日は12月20日。ここは十番隊の執務室だ。

早朝、いつもながら遅れて出勤して来たかと思えば誕生日だと?言われて見れば‥そうだったな。

「あぁ、ありがとな。」

軽くお礼をいい受け取ると、ウチの副官はやけに楽しそうにニヤニヤ笑っている。

夜に開けろと言っている辺り…一体何を渡されたのかと思うと、碌な事しか思い浮かばないので突っ込まないでおこう。

この時、今日はこれからが大変だとは夢にも思わなかった。

 

 

――チュンチュン――

 

現在AM10:00になる所だ。

相変わらず松本が何かに付けてすぐサボろうとしているが、ほぼいつも通りと言ってもいい。

だが、ここに1人…普段と同じように鬱陶しいが、やや違う様な奴が居た。

「なぁ~シロちゃん、今日は折角の誕生日なんやから…仕事なんてせんで僕とデートしはろうや~v」

コイツは三番隊隊長、市丸ギンだ。

あまり言いたくは無いが、一様俺の恋人だったりする。

 

毎度俺の所にやってきては、仕事しないで俺にちょっかいかけてきて・・いつもながらアイツの副官は哀れでならない。

大体、何でいつも仕事中にやってくるんだ!勤務後にいつも会ってるだろうが・・。

 

「今仕事中だ。行きたきゃ一人で行って来い。」

冷たく返事をかえし、黙々と書類に目を通していく。

「一人で行ってどないすんの~。誕生日やで!1年に1度しかない恋人達のスペシャルイベントや!・・シロちゃんは僕と、1日中あま~いひとときを過ごしたいと思わへんの!?」

 

なにか一人で力説しているが、いつ誕生日がそんな日になった??

「思わん。」と即答するが、ギンの様子に・・・はぁ~っと溜め息をついて、「仕方ねぇな‥。これ終わったら付きやってやるから、せめて大人しく待っとけ。」

根負けしてついそう言うと、ギンは明らかに浮かれて抱きついてきた。

チッ!俺もつくづくコイツには甘くなったもんだ。

 

しかし、こんな日に限って書類は山のようにどんどん届いてくる。

予定じゃあもうそろそろ一区切り付く頃なんだがな‥。

そんな事を考えていると、

 

―カンカンカン――

 

『護廷十三隊に告ぐ!緊急特例!緊急特例!!各隊長及び副隊長は直ちに集結せよっ!!』

急に呼び出しが掛かった。しかも緊急特例とは!・・なにか大きな事件でも起きたのかっ!?

「おい、ギン!召集が掛かった。行くぞ!」

俺は急いで準備をして、ギンにも声を掛けるが・・アイツはと言うと「えぇ~~、そんな殺生なぁ~。デート待っとったのに!」

この緊急時にまだそんな事を言ってやがる。

この際、引きずってでも連れて行こうとしてると、召集には続きがあった。

『―――ただし、十番隊隊長には待機を命じる。』

 

「・・・・・はぁッ???」

全く意味が分からない。俺だけ待機ってどういう事だ!?気にいらねぇ・・。

召集の内容に固まっていると、「まぁ、いいじゃないですかv隊長は行かなくて良いみたいですし。ラッキーですよ~!」

暢気に松本はそんな事を言っている。

そんな事を考えるのはお前だけだ!と言ってやりたくなるが…「では、私は行ってきますね~vほらギン!行くわよ。」

「いややぁ~~!!僕はシロちゃんとデートするんや~!!」

あっという間に、ギンを引きずりながら去っていった。

 

 

 

その頃、召集先では―――

山ジイを筆頭に皆が集まり、なにやら怪しい雰囲気を醸し出している。

皆が騒ぐ中、山ジイは咳払いで一喝すると「ぉほん!今回皆に集まってもらったのは以前より計画していた事項に対してである。各自、準備の方は如何様になっておるかのぅ?」

「それは・・・・・・・・・・・・・・・で、・・・・・・・・・・です。」

「私は×××な趣向を・・・・・・・・とっておきのホムンクルスなんか・・・・・・。」

「僕は・・・・・何かが・・・・・・・・・・・じゃないかと・・・・・・。」

「あぁっ!ガタガタ煩せぇな!・・・・・と言ったら斬り合いが最高じゃねぇか!」

「そんなのアンタだけよ!・・・・・・・はやっぱお酒っしょ~vあと・・・・・・。」

「お菓子いっぱ~いvねぇ~剣ちゃん!」

「いややぁーー!!僕はデートするんや~~!!」

「はぁ・・・大丈夫かなぁ?」

「・・そうだな。」

「・・・美しくない。」

 

秘密裏に誕生日パーティーを準備するメンバーと、縄で括られているギンの姿があった。

 

 

そして、一人残された日番谷隊長はと言うと・・・

書類の山に追われていた。勿論、これは計画がばれない為の策略である。

しかし、本人の誕生日にほぼ全ての仕事をやらせているのは本末転倒な事に気づいていない総隊長達であった。

(ほぼ全員、仕事をしないでパーティー準備に当たっている為。)

そんな事とは露知らず、「あぁ~っ!何で今日に限って次から次へと仕事が来るんだよ。ちっとも終わらねぇ!」

と愚痴りつつも書類に目を通していく日番谷隊長であった。

 

 

そして着実とパーティーの準備が進められていく中、一人縛られているギンはと言うと…

「くっ!・・・ほんまにこれ位の事で僕を止められると思うてんのかぃ?こんな事もあろうかと・・・」

と、ゴソゴソ懐から取り出した物は・・・浦原商店印の怪しい装置だった。

 

これはと言うと―――『おや、珍しい方がイラッシャイましたねぇ。本日はどんな要り様で?』

   『実は・・・・と言う訳なんや。シロちゃんとの甘~いヒトトキを邪魔されんよう、なんかええモンあらへんか?』

   『そういう事でしたらいい物がありますよんv・・これなんか如何でしょうか。これは―――という代物でしてね、

まぁ簡単に言うと‥思い浮かべた所に一瞬で移動できる装置ですね。試作段階なんで使用は2回が限度なんすけど。

今ならお安くしときますよ~v』

―――という訳で妨害対策用に用意しといた物だ。これでっ・・!!

 

 

「はぁぁあああぁぁ~~~~っっ。。」

この重い溜め息の主は、今話題の日番谷隊長である。

今だ書類に追われ‥というか既に埋もれている状況にすらなっていた。

「何の嫌がらせだよ・・これは‥。」

実は昨日、仕事は残って粗方終わらせておいたのだ。

なんだかんだ言いつつも、ギンが祝ってくれるのを密かに期待していた為である。

だが本来なら既に終わっていてもいい筈なのに、ありえない量の書類がどんどんと運び込まれてくる。

「こりゃ~もう、今日中には終わらねえな・・・。」

冷たい態度であしらっていても、ギンと過ごしたいと思って早く仕事を済ませようとしていたので結構堪えて‥もう諦めかけていたその時・・・

 

「シロちゃん~vv迎えに来たで!ほぃっ、さぁデートに行くやでv」

何処からか突然わいて出て書類に埋もれた俺を抱き上げると、いつの間にか何処かに連れ去られてしまった。

 

そして、目の前には一本の木が生えている場所にいた。

咄嗟の出来事で呆気に取られていた俺は、しばらく動けずにいたが今の自分の状況に気づくと慌てて降ろすように言った。

しばらくの間、二人無言で佇んでいると

「・・・シロちゃん、急にこないな場所‥連れてきてごめんな。でもどうしても今日、シロちゃんとこの場所に来たかったんや。」

ギンは少し寂しそうな様子で、でも真剣な顔をして俺にそう語りかけてきた。

 

「ここなぁ~、僕の特別な場所やねん。・・・昔な、一人ッきりの時‥誰も信用出来へん、全てがどうでもいいと思ってたんや。ただ、ここに居るだけで死んでんのと同じやった。」

静かに語りだしたギンを横目に、俺は黙って話しに耳を傾けた。

「でも、ここで初めて雪を見たんや。…そら降った事があらへん訳やないんけど、見ようとしてなかったん。僕の目にはただの白い物としか思えてなかったんや・・。でもある日ここで、何気なく空を見上げたとき…そらもうホンマにビックリしたわ!キラキラと雪が舞ってほんまに綺麗やったぁ~。目が奪われてしもうた。僕は今までこんな綺麗なもんを見落として来たんやと思うた。でもな、こんな綺麗なもんが見れるのやら、少しは生きててよかったんやと思えたんよ。だからここは、僕の特別な場所なんや。」

そう、語り終えると俺の方に向き直って穏やかに笑うギンの姿があった。

そんな大切な場所に今日、俺を連れてくれて凄く嬉しい。胸の奥が熱くなって思うように言葉が出てこなく、俺は一言「あぁ、綺麗な場所だな。」 とそう告げた。

 

そんな俺をギンは黙って背後から包み込むように抱きしめ・・

「ありがとな‥。シロちゃん。」

俺の心と体を温めてくれた。

少しの間、二人そうしていると‥一粒雪の欠片が落ちてきた。

「――あっ!」 思わず手を延ばして受け止めると、雪は手の中であっという間に溶けてしまった。

だがその間にも、雪はどんどん降ってきた。

二人で空を見上げ‥「綺麗だな・・。」 「ほんまに綺麗や・・。」 と抱き合いながら眺めていると

 

「でもな、シロちゃん。実はもう一つここに連れてきた理由があるんやで。」

とギンが言い出した。

「ここの雪を二人で見たかったって言うのもあるんやけど、実はな‥初めてシロちゃんとおうた時、この雪みたくキラキラして凄く綺麗やな~って思うたんや。それでシロちゃんと出会う為に僕は生まれて来たんやって確信したんよ。だから、シロちゃんは僕の1番大切な‥キラキラな宝物で、僕の存在を支えてくれる人なん。シロちゃんがいる限り…僕は何処へもいかへんよ。ずっと一緒や。」

 

そう言うと、俺を振り向かせて至近距離で見つめてきた。

俺はもう、こっぱずかしくって…よくそんな恥ずかしい事をつらつら言えるなと思いつつも、不覚にも涙が出てしまった。

「この馬鹿っ!俺はそんなキラキラなんかしてねえよ・・。でも‥どっか勝手に行くなんて事は許さねぇ。お前は俺のモンだからな。俺の傍に居ればいいんだ!・・・それと、連れて来てくれてありがとな。」

そんな俺をギンはもう一度抱きしめて、涙に・額に・鼻に・そして唇にキスを落とした。

そして耳元で「誕生日おめでとはん・・・・愛してる‥冬獅郎。」と囁いた。

今日は最高のバースディだ。

 

 

・・・・・ここで終わっていれば。

 

ガサガサッ―― と急に気配がしたかと思うと、「市丸ギン!見つけたぞっ!」

と隠密機動が現れ、囲まれてしまった。

その上隊長達まで現れて「もはやこれまでと思え。――さぁ、日番谷隊長をこちらに引き渡して貰おうか・・。」

などと言い出す始末だ。

はぁっ!?一体どんな状況なのかさっぱり分からねぇ・・。なんで追われてんだ。しかも俺?

「・・・・おい、ギン!お前…なにかしやがったのか?」

聞きたくないが恐る恐る尋ねると、「そな、大した事しとらんよ。ちぃとばかし抜け出して来ただけやv」

などと言い、「大丈夫やさかい、もう逃げへんですから~。ほな、次は総隊長さん達の用事に付きあわなあかんな。」

と、二人‥隊舎へと連れ帰されたのであった。

 

 

その後、何故か朽木家に連れて行かれたかと思うと、その一室は宴会場の様になっていた。

「あぁ~!!隊長~遅いですよぉ~v」

松本は既に出来上がっていて、俺を見るとこちらに手を振ってきた。

だが、俺にはまだ何がなんなのかよく判らない上‥隊長格に囲まれている状況ではとてもじゃないがいい気分とは言えない。

するといつの間にか壇上にいた山本総隊長がダンッ!と杖を突き、言葉を発した。

「皆の衆、ではこれより十番隊隊長日番谷冬獅郎の誕生日パーティーを開催する!!心して掛かれっ。」

すると周りから歓声が上がり、隊員達がお祝いの言葉を言いに集まってくれた。

・・・・・・はっ?パーティー??

俺はと言うと、余りの事にしばらく放心状態だったがなんとか意識を取り戻し、お礼を返した。

これか!今日1日中様子が変だった原因は・・。まさか総隊長までこんな事をしでかすとは思ってもみなかった。

 

皆が祝ってくれるのは嬉しかったが、その後はというと‥山ジイは「お爺ちゃんと呼んでもよいぞ。」とか抜かすし…

檜佐木は刺青、イヅルは胃薬(ギンを相手にする時、常備らしい)など、気持ちは嬉しいんだが‥正直ありがた迷惑な代物を貰った。

特に朽木のわかめ大使人形はかなり要らない。涅のホムンクルスは気持ち悪いし‥更木が寄こした鈴も・・「オメェ、中々見所があるからこれ頭に付けやがれ。…楽しいぜぇ~。」ってのは、勘弁願いたい。浮竹は相変わらず大量の菓子を持ってくるし、享楽は酒だ。

卯の花隊長は、何故か・・・ジュルをよこして「やりすぎには注意して下さいね。」とか笑顔で渡してくるしっ!!

 

そんな宴会?も何時間か経つと、会場は本人を除いて盛り上がっていたので俺はギンと抜け出した。

二人夜道を歩きながら、「ギン、その・・今日はホントにありがとな。・・・嬉しかった。」

闇の中でも判るくらいに真っ赤になりながら、小声でそう告げると「ほんまにシロちゃんは可愛いわぁ~v」

と言って、どちらともなくキスをした。

「――ぅん・・はぁ・・っ・・。」

キスに酔ってくらくらしていると、突如唇を離され‥「あかん、これ以上すると襲ってしまいそうや・・。送ってくさかい、今日はゆっくりと御休みぃ。」

そう言い、部屋まで抱きかかえて送ってくれた。

 

 

正直、今日は色々ありすぎてかなり疲れた。

もう寝ようと思ったとき、松本のプレゼントを思い出した。

確か夜に開けろとか言ってたよな・・。

ガサガサと包装を剥がすと、中からはメッセージカードとギンの縫ぐるみが出てきた。

『隊長へv アタシ特製ギン抱き枕ですぅ~。寝るときにギュッとしてやって下さいねv  隊長想いの部下よりv』

・・・・あいつ、何考えてんだか。

はぁ~。と溜め息を一つ付くと、もう休むことにした。今日はよく寝れそうだ。

 

 

翌日、朝早く日番谷隊長の部屋を覗くと‥大切そうにギンの抱き枕を抱いて寝ている姿があったとか・・。

 

 

 

 

 

 

 

うわぁぁΣ 色々ごちゃ混ぜにしたら変過ぎる><!!←一つに絞れや。

しかもギンの口調が変だよ~TT(気にせずにお読み下さいませ)