カランカラン――
今日は珍しく買い物に出掛けている浦原であったが、近付いてくる霊圧に気づくと足を止めた。
振り向くとそこには息を切らして走ってくる愛しい恋人の姿がある。
「――浦原っ!!・・珍しいな、アンタが外にいるなんてっ。」
傍までやってくると、そう声を掛けてきた。
寒い中、息を切らして走った為か頬が少し赤くなっており、そんな姿すら愛おしく思う。
「えぇ、今日は少し本屋に用があったので・・。宜しければ黒崎さんもご一緒にどうですか?」
そう尋ねると首が取れるんじゃないかと思うくらいコクコクと頷いて、「おぅ!‥特に用事もないから、付き合ってやるよ。」
と返事をし、嬉しそうに横を歩き出した。
どうやら許可を頂けたようだ。
しかし、本人は分かっているのだろうか?こんなにも判りやすい事に・・。
一護さんが何故ここに現れたのかは分かっている。それは・・・
「なぁ、そのマフラー‥巻いてくれてるんだな!」
一護さんは嬉しそうにマフラーを指してそう問いかけてきた。照れているらしく、頬も先程より赤く染まっている。
あぁ、駄目ッスよ‥そんな可愛らしい表情を他人に見せちゃぁ・・。
それに実際、一護はマフラーを巻いている事を知っていたはずだ。
なぜなら、このマフラーにはある仕掛けが施されている。
一護の霊圧が篭められたマフラー、それは‥別の意味も含まれている。幾ら霊圧探知が苦手と言っても、さすがに自分の霊圧ぐらいなら集中すれば分かるのだ。
アタシの事が気になって、何処にいるのか探知して会いに来てくれるなんて‥本当に可愛らしい‥。
出掛けているのが気になって追ってきてくれるなんてね。
勿論、アタシが気づいてるなんて知られたら‥こんな一生懸命で可愛い一護さんが見られなくなってしまうので、あえて黙っているんですけど。
・・・まったく、ホント悪い大人に捕まっちゃいましたねぇ。‥でも、もう離しませんから。
「一護さん、帰りに喫茶店にでも寄りましょうか?・・折角の、アタシ達の初デートですからねv」
そういえば一緒に外出するのは初めてだ。
普段は出掛けるなんて面倒だけど・・こんな一護さんが見れるのなら偶にはいい。
「うぇぇっ!!‥デ・デートッ!?」
改めてデートという単語で言われると恥ずかしいみたいで、耳まで真っ赤になってしまった。
いつまでも初々しいッスね~。でも、時々男前にもなって困っちゃうんすけど。・・勿論いい意味でね。
一護の反応を見ているとつい‥もっと弄りたくなってしまう。
「そうっスよんv・・それとも、他に‥行きたい場所とかありますか?」
聞きながら今度はどんな反応をしてくれるかな~?と想像していると、
「・・・いい、何処も行かなくて。アンタと一緒なら‥。」
俯きながら、アタシの袖をギュッと掴んでそう小さく呟いた。
あぁ、この子はなんて子なんだろう・・。いつもアタシの想像を遥かに越えてくる。
まったく‥君には敵いませんよ。
そう思いながら、二人は買い物デートへと行くのであった。