「…実はアタシ、結婚することにしちゃいましたv」
珍しく真剣な趣で話を切り出したかと思うと…結婚!?
「・・・・・はっ??」
思わず変な声がでた。
「だから~ぁ、結婚っスよ!アタシが‥ね・・。」
「ぉ、おおっ!そりゃ、目出度いやな~!おめでとさん。」
・・・喜助が結婚!?
結婚結婚・・・頭の中でグルグルその言葉だけ渦巻いてる。
それでもなんとか動揺を隠し、祝いの一言だけは口にした。
「・・・それで、相手は誰やねん?」
知りたいが…聞きたくないとも思ってしまう気持ちを押し殺しながら問う。
喜助が幸せになれるなら‥それで・・・いいやんけ・・・。
そう言い聞かせていないと、自分が崩れ去ってしまいそうだった。
「それはですねぇ~。・・・・・・・分かりませんか?」
「・・・・・あぁ。」
「・・・・本当に?」
「・・・サッパリやな。」
そんなやりとりを繰り返していると、喜助は「はぁ~っ・・。」と溜め息をついたかと思うと
「相手は・・・・・・アナタですよ、平子さん。・・・アタシの結婚相手はね…。」
「・・・・・・・・・・ぅヘッ!?」
一瞬なにを言っとるのかと思ったが、よく考えると先程から喜助は悪戯っぽい笑みをしていて…なおかつ今は少しご立腹のようだ。
「酷いですよ~、アタシが平子さん以外の相手と結婚すると思ったんですか!?アタシの愛を疑うなんてぇ~。」
そう言いながら、目の前ではシクシクと喜助が嘘泣きをしている。
どうやら気付かなかったので拗ねている様だ。
はぁ~~っ。なんやねん…人の気も知らんと・・・。酷いのはどっちだか。
そう思いつつ・・・
「あのなぁ~、俺がいつ!お前と結婚するなんてぬかしたんや!!」
事の発端になった結婚話。
何時そんな話をしたんかと問い詰めると・・
「あぁ!それは‥先程アタシが決めたんすv」
とよくもまあ、悪気もなくサラッと言えたもんやと‥こっちが感心するぐらいアッサリ返事をかえしてきた。
「…喜助、お前なぁぁ~~~!!」
怒りを通り越して、呆れ果てて脱力感に見舞われ肩を落とした平子だったが、それだけでは終わらなかった。
「さっ!平子さん、急がないと式が始まっちゃいますよ。」
そう言って何処からともなく怪しいマントを取り出すと・・・俺に被せてすぐに外した。
すると・・・!!
「なっ!?・・・なんやこれ!俺の服、タキシードになってるやんけ!」
説明されるまでもなく、平子の着ていた服はあっという間に白いタキシードに変わっていた。
「…平子さん‥カッコイイッスvv」
平子の姿を見てウットリとしている喜助は、いつの間にかウエディングドレス姿に変わっていて平子を見詰めている。
「・・・・喜助、ホンマにやる気なんか?」
いきなりの展開についていけない平子は、とりあえずそう聞くが、
「勿論っスよv・・・それともアタシとじゃ、嫌なんすか?」
ドレスを身に纏って着飾った喜助に‥上目遣いで(しかも涙目)そんな風に訴えられて、NO!と言える筈がない。
寧ろ、今にも襲い掛かりそうになるくらい綺麗で耐えるのがやっとなくらいだ。
「あほっ!そんな訳‥ないやろっ!!」
思わずそう強く答えると、喜助は嬉しそうに笑い‥
「なんなら、ギャラリーも用意してありますよ~v ・・・お呼びしましょうか?」
次はそんな事を言い出した。
「ちょっ‥マテッ!頼むから、それだけは勘弁してくれっ!!」
一体誰を呼ぶ気だったのかは知らんが・・・ひよりや理沙に知られたら、後々どないな事になるかわからへん。
仮にテッサイさん達だとしても・・・目の前でこないな事をやれとっ!?
そんな平子の気持ちを知ってか知らずか・・・
「・・・まぁ、イイッす。二人だけの式って言うのも乙ですしね。――アタシと‥アナタだけのヒ・ミ・ツ‥って訳ですねv」
そう言って喜助が指を鳴らすと・・辺りは教会に変貌した。
牧師がいる訳もなく、居るのは平子と喜助の二人だけ・・・。
「さぁ・・・平子さん、誓いの口付けを・・・・。」
喜助に促されるまでもなく、肩に手を乗せて引き寄せると‥唇が今にも重なりそうなほど顔を寄せて
「・・・喜助、俺ホンマにお前の事‥愛してんねん。大切にするさかい・・俺と‥一緒に居てくれや。―――魂が尽きて朽ち果てるまで・・・。」
そんな初めて見せる真剣な平子の想いに、思わず顔を赤くして逸らしながら・・・
「・・・平子さん、…アタシも‥いえ、僕も愛してます。―――ずっと離さないで抱きしめていて下さい・・・。」
そう答える喜助の頬には、一滴の涙がこぼれていた・・。
そんな喜助を愛おしそうに見詰めながら、顔を引き寄せ…誓いの口付けをすると・・・
――ボワン!!―――
「・・・・ぉわっ!?・・ゲホ・ゴホッ・・・・今度はなんなんやっ!?」
「ありゃ、戻っちゃいましたね。」
いきなり白い煙に包まれたかと思うと、そこは元居た浦原商店で何もかもが元通りになっていた。
「・・・・・喜助。どういう事やねん、これは・・。」
不機嫌を隠そうともせず、コメカミをピクピクさせた平子が詰め寄ると・・
「嫌だなぁ~、平子さん!今日は何の日っスか~?」
あっけらかんとそう答え、「今日はエイプリルフールっスよ~v」と扇子で口元を隠しながら笑っている。
そんな様子に、平子もとうとう堪忍袋の緒が切れた。
「嘘つくんでも性質悪すぎやっ!・・・ほな‥あれ全部嘘やったって言うんか!!」
怒りながらそう言うと・・・
「・・・えぇ、そうです。嘘ですよ…全部・・ね。」
そう、真剣な声で・・しかし哀しい響きが篭った声で返された。
そして顔を上げた喜助の目には、アタシにはそんな資格なんてないと分かっているでしょう?
そんな気持ちが嫌というほど伝わってくる瞳で・・・
「でもね、平子さん…幸せな嘘‥でしたけど、誓いの口付けだけは・・・嘘じゃありませんでしたよね?」
―――少なくとも‥アタシは‥ね・・・。
そういって、微笑む喜助を見て俺は・・・
「・・当たり前や、嘘なんかじゃちゃう。・・・俺がホンマにしたるまで、離れず傍にいてるんやで。」
もう二度と、そんな顔で笑わなくて済むような世界にして見せると‥改めて決意したのであった。
うぅ~~ん;;
唯の悪戯話のはずだったのに!! なんでシリアス入れちゃうんかなわてΣ
色々入れたい台詞…ごちゃ混ぜにするから、変な話になるんだな・・・。←分かってても直せない奴TT
一様、初平浦SSですv
その後・・・
「でもアタシ‥やっぱり平子さんのドレス姿が見たかったな~。絶対平子さんの方が綺麗なのにぃー! ・・・そしたら髪も伸ばして~アタシが結ってあげてっv ・・・・あ!でも‥そうすると、白無垢も捨て難いっスね!・・どう思います?平子さん?」
(不穏な話に身の危険を感じて、既に居ない真子・・・。)