その後・・・
「・・・・・喜助。お前‥よくもまぁこないめんどい事、押し付けてくれたやないかぁ~。」
浦原商店へ戻ってくるなり、平子が待ち構えたかのように掴みかかってきた。
「え~っ?なんの事ですかぁ?・・・店番、そんなに大変でしたか?」
そんな平子をよそに喜助はとぼけた様子で、平子に向かって笑いかけた。
「え~?やないわっ!俺ん顔でそないな声だすな!きしょく悪いッ。そないな事言っとるとちゃう。・・・一護の事や。・・・お前、アイツ来んの判っとって俺に店番させたやろ。・・なんのつもりや。」
一護が喜助に話に来たことを言い、詰め寄ると・・・
「あぁ…黒崎さんですか・・・今日もいらしたんですね。それが何か問題でも?」
あくまでとぼけた様子で平子の様子をうかがう喜助に、平子は諦めたかの様に溜め息をついた。
「ホンマ、お前性質悪いわ…。アイツがお前に惚れてる事、判っといて俺に押し付けたんやろ。・・・なんで返事してやらんのや。・・・今後の計画に不都合でもあるんかぃ?」
そんな平子の言葉に、喜助は急に表情を変え・・・
「返事ッ!?・・何をですか。何度も言いましたよ、そんなのは気の迷いですって、アタシ見たいな奴は止めたほうがいいと。それとも何ですか?黒崎さんの告白を受け入れろとでも?・・貴方が…それを・・ッ‥。」
―――言うんですか?
急な剣幕で詰め寄ってきたかと思うと、今度は弱弱しく…捨てられた子犬のような顔をしている。
まったく昔から相変わらず、めんどいやっちゃなぁ~。
まぁ‥せやからほっとけんのやけどな。
「アホやなぁ~。誰もそないな事、言うてへんやろ。てか言う訳あらへんし。」
「・・・・ふぇっ?」
そう言うと、喜助が情けない声を出してこちらを見上げてきた。
「なにそんな泣きそうな顔しとんねん!俺が言いとうのは、キッパリと一護を何でふらんかって言ったんや!・・・お前には俺っちゅう、ええ男がおるやろ!」
そう言いながら、ニヤッと口端を上げて喜助に笑いかけた。
「・・・平子さん‥。」
そんな平子の告白紛いの台詞に、喜助は頬を赤く染めてると、
「大体、なんや!一護の奴‥お前がハッキリせんから勘違いしよって、迫ってきたんやで!‥危うくキスされてまうとこやったやないか・・。」
――ピキッ
喜助は平子が喋り終わらないうちに詰め寄り、
「・・・それは、一体どういうことですか?平子さん‥。まさか黒崎さんにキスさせたんですかっ!?」
今度はいきなり喜助に胸倉掴まれたかと思うと、ブンブン揺すられる羽目になった。
「ちゃ、ちゃうんや!そないな事させるわけ無いやろ。思わず手刀喰らわせて逃げてしもうたわ。」
慌てて弁解すると、
「はぁ~っ、…良かった。」と心底安心したように胸を撫で下ろしているので…
「なんや?そんなに一護とキスすんのが嫌だったんか?…せやったらなんで、あない面倒な事仕掛けたん?」
平子が訪ねると、「そっ、それは‥ですね・・・。」
喜助は言い辛そうにモゴモゴと口篭っていたかが、やっと口を開いたかと思うと…
「だって…平子さん、ちっとも妬いてくれないから。」
と言い出した。
「・・・はぁっ?」
「で、ですからっ!黒崎さんがアタシに好意を持ってると知れば、少しぐらい妬いてくれるかなぁ~と・・。なのに、平子さんが一護さんにキスされたなんて言われたらっ!…例えアタシの体でも、嫌ッスもん!!」
それなのに・・・アタシがヤキモチ妬いちゃって…馬鹿みたいッス。
そう自傷気味に呟いて笑う喜助を見て・・・
「はぁ~っ、なんでそうなるんや!‥手のつけようのない程のアホやな…お前は・・。」
平子は溜め息をつくと、半ば無理やり喜助を引き寄せて‥優しく抱きしめたのであった。
「…っ!ア、アタシ、アホじゃありませんよっ!元局長ッスもん。」
平子の急な行動に驚きを隠せず、胸の中で焦ってバタバタと暴れていたが‥結局は平子の胸にしがみ付く様な形で大人しくなった。
「それがアホやっちゅうねん!―――俺かて、惚れとる奴ん前ではカッコつけとぉねん…。」
妬かないわけ‥ないやんか、このボケがッ・・・。
照れながらもそう囁くと、
「なんも不安がらんてえぇ。‥俺が惚れとんのは、今も昔も…喜助だけや。・・そしてこれから先もな。」
胸元で耳を当てながら聞いていた喜助は、「・・えぇ、アタシも…平子さんだけっすよ‥。」
平子に届くか届かないか位の声で…そう囁いた。
その後2