その後…2

 

 

 

暫くの間、二人ともそのまま抱き合っていたが・・・

 

 

 

 

「しっかしまぁ~、どこら辺が面白かったんや?・・楽しんでたのお前だけやん。」

そう愚痴りつつ、平子は喜助の顔を覗いた。

 

そこで、まだ入れ替わったままであることを思い出し、「なぁ、これいつ戻んのや?」と問いかけると・・

 

「ふふっv 何言ってるんスか?‥平子さん。・・・お楽しみはこれからでしょう~v」

すっかりいつも通り…というか、それ以上に怪しい笑みを浮かべた喜助がそこにはいた。

 

 

 

「な、なんや…これ以上、何をしろっていうん‥ですか、喜助さん?」

思わず引きつった笑みを浮かべながら、そう訪ねると・・・

 

「この入れ替わったシチュエーションで、面白い事と言えば・・・これしかないでしょ?」

むしろこれが初めからの目的と言わんばかりの様子で、喜助は勢いよく平子を押し倒した。

 

 

「――ぅおっ!?‥ったぁ~~。いきなり何すんねん!」

 

とっさの事で畳に肩を打ちつけてしまった平子は、ァイタタッ…と痛みで顔を歪めながら視線を上げると、目の前には自分に覆いかぶさるようにしている喜助がいた。

 

 

「・・・あのぉ~喜助さん?あまり聞きとうないんやけど、何しようとしてんねん…。」

聞かなくてもこの体勢で喜助の考えることだ・・・。碌な事ではない。

 

 

案の定、「何って勿論、ナニですよんv…偶には逆もいいじゃないッスか?」

そういって、嫌になるくらい満面の笑みでニヤリと笑う自分の顔をこれほど恨めしく思ったことはなかった。

 

 

 

「言い訳あるかぃ!ボケッ!俺は襲われんのはご免やで。」

そう言って引き剥がそうとするが、何分体勢が悪い‥。しかも今は喜助の体なのだ。

 

 

すると喜助は、

 

「えぇ‥そう言うと思いまして。・・・ほら、平子さん今は僕の体でしょう?だ・か・ら・下は僕って事で、問題解決ッスよねんv」

 

と、サラリと恐ろしい事を言いのけた。

 

 

「そやな‥それなら解決・・・なんていう訳あるかっ!このボケがッ!結局はやられんのは俺やしっ。…しかも自分に襲われるなんてなおご免やわっ。」

 

 

――己は自分の顔しとるの奴、やるなんて気色悪ぅないんかい!?

 

 

必死で訴える平子だったが・・・

「別にぃ~‥平子さんでしたら、例えどんな姿だろうと僕は愛せますよ‥。」

 

・・・他ならぬアナタだからっ…。

 

 

何気に凄い告白を聞かされたかと思うと、その一瞬の不意をついて接吻をしかけてきた。

 

 

 

 

「ぅん…っ、ちょ・・待てや!・・・んんっ‥//」

平子の制止を無視し、喜助は口から耳へ‥顎・首筋へと舌を伸ばして吸い付いていく。

 

たまらず平子は漏れそうな声を必死に堪えた。

その間にも喜助は止まらず‥いつの間にか作業着の前は肌蹴ており、胸元にも接吻を落とす。

 

「っは‥//も、もうやめぃ…。――これ以上は・・・」

 

 

――アカンわ・・・。

 

 

 

そう平子が声を発しようとしたその時、何処からかプスプスと煙が漏れ出してきた。

なんやこれ?‥疑問に思う平子だったが、

 

「あっ!ヤバッ‥時間切れみたいッスね・・。」と喜助が焦っているのを見て、状況を察した。

 

そして煙が二人を包み込み‥はれた時にはもう、お互い元の体に戻っていたのであった。

 

 

 

「‥あれぇ~?可笑しいッスね…もうちょっともつ予定だった筈なのに・・。」

そう不貞腐れて呟いてる喜助を見下ろしながら、平子は「喜助ぇ~、形勢逆転やな‥。」

ニヤリといつもより黒い笑みを見せた。

 

覚悟は出来とるんやろなぁ・・・と笑顔で言う平子だが、目が笑っていない。

 

 

「・・・もしかして平子さん怒ってます?・・嫌だなぁ~ちょっとしたジョークじゃないっスか‥。」

そんな平子に内心冷や汗を搔きつつ誤魔化そうとするが、当然そんな言葉を鵜呑みにする筈も無く…今度は喜助が襲われる番であった。

 

 

 

 

「なんや‥えぇ眺めやないか・・喜助ぇ~。」

そう言うと、喜助の腕を押さえながら先程喜助にやられた通り‥そのまま返していく。

 

「んっ‥//…ちょっ・・・平子‥さ・…。」

 

「こないに痕つけてもうて・・・そない、俺にして欲しかったん?」

舌で痕を丹念に舐めまわしながら、「・・・全身に痕つけて貰いたいやなんて‥エロいやっちゃな…。」と囁いた。

 

「――っ!!///」

その途端、カァッと喜助の顔は真っ赤に染まり、「…・そんなん・・じゃ・・・あ//」

漏れそうな声を耐えながら、必死に言葉を紡いだ。

 

 

 

「ほな‥どうちゃうんや・・・?」

そんな喜助を楽しそうに眺めながら、ニヤリと見下ろしていると・・

 

「・・・意地悪ッスね‥//」

散々焦らされて堪らず涙目になっている顔を隠そうと、喜助はそっぽを向いて言った。

 

 

 

そんな喜助に、

「今頃気ぃ付いたんか‥?俺は意地が悪いでぇ~。」

 

そう言うと、押さえつけていた腕を開放し‥喜助の上に重なるような形で抱きしめた。

 

 

―――だから‥幾らでも泣いてえぇで・・・。

 

 

 

そう耳元で囁いて、ポンポンと喜助の背中を撫でる。

 

 

 

「会えたんやろ‥アイツ等に・・・。顔見せられへんゆうて‥こない回りくどい事すんなや。・・・ホンマ‥めんどいやっちゃで、自分?」

 

まるで赤子をあやすかのように優しい声で語りかける。

 

 

ズルイなぁ~。

「・・・全てお見通しって事ッスか‥。」

 

そう呟くと、

――やっぱり、敵わないなぁ~・・・平子さんには‥。

 

 

 

 

そう答えて、平子の温もりに抱きしめられながら‥100年ぶりに涙が零れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その後の平子談:「何いうとんねん!ズルイんはお前やろ‥。こない、怒るに怒れんやんか・・・。」

 カッコイイ平子さんが書きたかったつもり・・・><;; 無理やわ‥。

 

 

 

 

 

  その後1                                                         オマケ